5月21日(土)のシステマ南埼玉は、
午前中の通常クラスと午後の特別クラスの二部練習を行った。

午前中の通常クラスは、自分を含めて参加者9人と盛況。
システマ群馬のN呂IiTをはじめ、某総合武術を長年修業している方など、
武術・格闘技指導者の参加が4人というレベルの高さだった。
他流派の指導者にもデモを見られるわけだから、
自分は少し緊張してしまったが、楽しく練習できて良かった。 

特に、システマ南埼玉の創立当初からのメンバーで、
今は広島で合気道を教えているK保さんが、
出張のついでに久しぶりに顔を出してくれたのは嬉しかった。
K保さんは、参加者が2~3人しか集まらない時代に比べて、
今ではかなり参加者が増えているのを見て驚いていた。
システマ南埼玉は、K保さんのような熱心な人達に支えられて
今まで何とか続けられてきたわけで、有り難いことだなと改めて思った。

クラスのテーマとしては、システマの攻防の基本中の基本である
プッシュ&ムーブを、久しぶりにみっちりと練習した。
システマが上達するには、細かい技術を覚えるよりも、
「動き」と「プッシュ」の質と精度を上げることが早道だと思う。

具体的なメニューとしては、ブリージングウォークから始めて、
中腰でのウォーキング、ダックウォーク、合気道的な膝行・膝退などもやってみた。

5.21システマ南埼玉①

スタンド状態とグラウンドだけでなく、その間のあらゆる高さも含めて、空間を三次元的に動き続けるワーク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他の武術や格闘技では、スタンド状態の攻防とグラウンドの攻防に明確に分かれ、
投げ技やタックルなどでスタンドからグラウンドに突発的に移行することが多い印象がある。
一方、システマの場合は、スタンドとグラウンドだけでなく、
その間のあらゆる高さでも自由に動き、空間を三次元的に使う点が大きな特徴だといえる。

ということで、システマ南埼玉のメンバーには、中腰やダックウォークなどの負荷が高い状態でも
下半身を脱力して滑らかに動く感覚を身につけてほしいと考えた。
普段あまりやっていない地味でキツい練習だったから、参加者はけっこう辛かったと思う。
しかし、中腰やダックウォークで滑らかに動けるようになれば、
スタンドでの歩法ではさらに楽に自由に動けるようになるはず。
だから、自宅での自主練にも、たまには低い姿勢でのウォーキングを
取り入れるといいんじゃないかと思う。 

5.21システマ南埼玉②

2人組で、前腕を極限までリラックスしつつ手首を真っ直ぐした状態を確認するワーク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5.21システマ南埼玉③

壁を使って、手首を真っ直ぐした状態を確認するワーク。初心者の方は、手首のリラックスした真っ直ぐ感をいつでも作れるようになるまで、自宅などでも壁を使って頻繁に確認した方がいいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は、リラックスして手首を真っ直ぐした状態を確認し、
プッシュアップのフォームを入念に確認して、プッシュと受け流しへと移行した。

5.21システマ南埼玉④

「手首を真っ直ぐ」にして「拳から」行うプッシュアップのフォームを2人組でじっくりと確認

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5.21システマ南埼玉⑤

手首をガッチリと抑えてもらった状態で、拳からプッシュできるかを確認しました。この流れで、いわゆるシステマ式合気上げなども試してみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5.21システマ南埼玉⑥

超基本ワークのプッシュと受け流し。受け手が足を止めて受け流すバージョン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5.21システマ南埼玉⑦

続いて、プッシュと受け流しを、受け手が歩法も使ってよいバージョンで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、プッシュを受けて、その勢いでプッシュを返すワークも行った。
前回のスティックのクラスでもこの感覚を養うワークをやったが、
相手の動きに乗って返す感覚がないと、スパーリングをやってもシステマらしい攻防にならないと思う。
この感覚が出来てくると、レスリングだろうが、ストライクの攻防だろうが、対武器であろうが、
あらゆる状況で有利に戦えるから、システマ南埼玉のメンバーにはぜひ身につけていただきたい。 

5.21システマ南埼玉⑧

プッシュを受けて、その勢いでプッシュを返すワーク。「何も足さない。何も引かない。」感覚で、エゴを出さず、相手からもらった動きを素直に返すことが大事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、精度の高いプッシュを活用して、ストライクを打ったり、テイクダウンしたり、
ホールドから逃れたり、グラウンドの押さえ込み状態を外したり…と、様々な状況を試してみた。
良いプッシュを打つだけで、戦いのあらゆる状況に対応できるし、
プッシュの精度を高めることで、ストライクやテイクダウンの効果も格段に向上する。
猪木の名言ではないが、「プッシュがあれば何でもできる」と自分は考えている。
それだけ、プッシュはシステマの基本であり、汎用性が高い万能の武器だといえる。

5.21システマ南埼玉⑨

ストライク、テイクダウン、エスケープfromホールド、グラウンドの攻防…などなど、様々な状況でのプッシュの活用法を検証しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスの最後には、精度の高いプッシュを打つ感覚、プッシュを受けて返す感覚の延長線上で、
何でもありの自由攻防を行った。勝負にこだわらず、クラスで練習した内容を活かせるように、
ゆっくりと丁寧に行うことを心がけた。 

5.21システマ南埼玉⑩

最後の何でも有りスパーでは、以前に比べてシステマらしい良い動きの人が目立ちました。群馬システマ界をリードするN呂IiTも滑らかな動きを見せていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近のシステマ南埼玉では、スパーリングを行うことによる弊害が目立ってきたから、
それを改善するための練習に取り組んでいる。
今回のクラスでも、ビシバシドカドカと力がぶつかり合うドラゴンボール的な攻防を避けて、
リラックスして滑らかに動くシステマらしい攻防感覚を養うことを目指してみた。

クラス最後の自由攻防を見ていると、参加者もその辺りをかなり意識しているようで、
スパーリングへの取り組み方もだいぶ改善してきた様子。
この流れで、次週の「第5回システマ風掛け試し」でも、
システマらしくレベルの高い攻防が見られるんじゃないかと期待感が高まった。 

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昼休みをはさんで実施した午後の特別クラスは、
合気道指導者のNさんとマンツーマンの濃い稽古になった。
ミカエル東京セミナーの復習を中心に、インターナルワークをみっちりと練習した。
レベルが高い相手と練習すると、自分の実力も相当に引き上げられるから有り難い。 

具体的にはスティックワークを重点的に練習したわけだが、
ミカエル東京セミナーの復習も2回目になるから、
セミナー当日にはよく分からなかった部分への理解がかなり進んだ。

また、今までに考えてきた仮説を検証したり、
様々な原理を試すことで、数多くの新しい発見があった。
RPGのドラゴンクエストに例えると、
はぐれメタルを4〜5匹は倒したような経験値が得られたと思う。
処理した情報量が多すぎて、クラス終了時には脳疲労が凄いことになったが。 

ミカエル師のセミナーで教わった高度な内容は、
復習を一度や二度行うくらいではもったいないと思った。
今後も、スルメをしゃぶり尽くすように何度も何度も復習して味わうことで、
豊富な滋味が得られる気がしている。