4月30日(土)のシステマ南埼玉では、普段とは少々異なるクラス運営の方法を試してみたから、その時の感想を書いてみようと思う。

自分は今まで、数多くのシステマのクラスを体験してきたが、インストラクターによってクラス運営の方法も様々だなと感じる。事前にキッチリと詳細に練習メニューを作り込む人もいれば、その時の気分や場の雰囲気によって即興でメニューを決める人もいる。

自分の場合は、練習メニューをしっかりと決めておくタイプで、今まで行ったシステマ南埼玉のクラスのメニューは全てExcelでデータベース状にまとめて記録している。その方が、各メニューの時間配分もうまくいくし、参加者に伝えたい要素の抜け漏れも少なくなるから、クラス運営がグダグダにはならないだろうという安心感がある。

しかし、自分の場合、事前にキッチリとメニューを決めておくと、1回のクラスに様々な要素をパンパンに詰め込んでしまう傾向がある。システマ南埼玉の通常クラスは2時間半と長い部類だが、それでも練習メニューを全て消化するために、時間を延長させることが頻繁にある。自分としてはサービス精神のつもりで、これも伝えたい、あれもやってほしい・・と数多くの要素をついつい盛り込みたくなってしまう。その一方で、参加者からしてみると、情報量の密度が高すぎて、少々混乱することもあるのかも?・・という気もしていた。

そこで、4月30日(土)のシステマ南埼玉では、クラス前半に実験的な取り組みとして、参加者それぞれが自分のやりたいテーマやメニューを自由に練習することにしてみた

4.30 南埼玉①

参加者それぞれが自分なりのテーマ・メニューで楽しく練習していました。

 

 

 

 

 

 

 

 


システマ南埼玉のメンバーは、システマ歴数年のベテランもいれば、まだ始めて半年経たない初心者の方もいて、人それぞれシステマの習熟度も異なる。おのずと、改善すべき点や、伸ばしたい部分も人によって違ってくるだろう。

初心者もベテランも同じメニューで練習するのがシステマの良さでもあるが、たまには、人それぞれ別メニューで、各人が自分のシステマを高めていくようなクラスもあっていいのではないかと考えた。

また、「別メニュー調整」というのも、プロ野球っぽくて面白いかなという気持ちもあった。なんとなく、渋くて、玄人っぽい感じがあるかなと。

具体的には、30分ほどのウォーミングアップの運動の後、参加者各人が自由に使える時間を60分ほど設定し、パートナーと組む形で、自分の好きなテーマ、メニューで練習してもらった。クラス参加者には事前に、「ストライクの精度・威力を上げたい」「テイクダウンの幅を広げたい」・・・など、自分なりの練習テーマや、やりたいメニューを用意してきてもらった。

さらに細かく説明すると、ペアを組んだパートナーと、自分の練習テーマ・メニューで10分、相手の練習メニュー・テーマで10分行う形で20分を1セットとし、パートナーチェンジを2回して、合計3セット・60分を実施した。

この形でワークすると、自分の練習テーマで3回、パートナーの練習テーマで3回行うことになる。また、常にパートナーと意見交換しながら練習するわけだから、60分の中で数多くの気づきが得られる密度の濃い練習になったのではないかと思う。

参加者の感想を聞いてみても、各人がそれぞれ自分のシステマを高めるために行う練習は、なかなか新鮮だった様子。普段のクラスでも、インストラクターのリードに従ってそのまま行う受動的な練習ではなく、自分なりにいろいろ工夫したり、仮説を検証するような気持ちで主体的に取り組むと、システマの実力の伸びが格段に違ってくると思う。 

4.30 南埼玉②

リアルシャドーを行っている様子。自分が自宅でこれを行う場合、vsスピードが速い敵とか、vsナイフを持つ複数の敵とか、相手や状況を様々に変えてやっています。対戦相手にヘビー級ボクサーとか巨大カマキリが浮かんでくると上級者といえるかもしれませんが、まだまだその境地には至っていません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は、クラス後半のシステマ風掛け試しに移る前に、クラス前半で自分なりに練習した動きを実戦でも活かせるように、いわゆるリアルシャドーをやってみた。リアルシャドーとは、格闘漫画のバキの影響で自分が自宅でよくやっているメニューのこと。想像でリアルに対戦相手をイメージして、あたかもその相手と実際に戦っているように動く・・・というわけで、バキを読んでいる人ならすぐに理解してもらえると思う。

そのリアルシャドーをシステマ風に行う上で大事なのは、自分に都合のよい相手の動きでなく、自分に不利な動きや状況をイメージすること。また、予め決めた動きでなく、イメージ上の相手の動きから自然に出る体の反応や流れに乗って対処することも重要だといえる。

システマ南埼玉でこのリアルシャドーを行うのはおそらく初めてだったが、これもなかなか新鮮だったのではないかと思う。通常クラスに毎回参加する人でも週1回の頻度しかないわけで、対人練習の不足を補うために、普段の自宅での練習メニューにも時々取り入れるといいかもしれない。

4.30 南埼玉③

リアルシャドーに続いて、対人で自由に動いてアプローチする慣らし運転的なワークも行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 


リアルシャドーの後は、重心移動で滑らかに動きながら、周囲の人に自由にアプローチするワークを行った。そして、システマ風掛け試しへと移行した。[自由な別メニュー調整] → [リアルシャドー] → [実際に対人での自由なアプローチを試す] → [掛け試し]…と段階的に移行したから、掛け試しでも普段より参加者みんなの動きが良かった印象があった。自分は今回、動画の撮影係とタイムキーパーは担当せず、掛け試しにフル参加してみたが、どの対戦相手も結構手強くなってきたなと感じた。スパーで以前のような無双状態ができずに残念な部分もあるが、クラスの参加者が上達して強くなっていくのは、インストラクターとしては嬉しいものだ。

今回のクラスで実験的に行った別メニュー調整は、かなり効果的な取り組みだったと思う。今後のシステマ南埼玉のクラスでも、時々は取り入れていきたいと考えている。