少し時間が経ってしまったが、
12月24日(土)に行った通常クラス
「第10回 システマ風掛け試し」の感想を書いておきたい。

2016年最後のクラスの前半は、
「精度」「コントロール」というテーマで練習してみた。

システマ南埼玉では12月に入ってから
「第二の呼吸」の本格的な練習を開始したから、
本来の流れからすれば、このクラスでも「第二の呼吸」のワークを
ガッツリとやりたいところではあった。

しかし、あえて今回、別のテーマに変更したのには理由がある。

 

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昨年11月のヴラディミア師の来日セミナーで言われた言葉が強く印象に残ったため、今回のクラスのテーマにしてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、昨年11月のヴラディミア師のセミナーで、
「もっと強くストライクして下さい」
ヴラディミア師から日本のシステマ修行者に
苦言を呈されていたのが気になっていたから。

また、昨年来日したマックス・フランツ師も、
「日本人はテイクダウンされる時に簡単に倒れすぎる」
言っていたのも、長く心に残っていた。

相手を尊重し、周りの空気を読む日本人らしい美徳なのかもしれないが、
日本のシステマーは練習の時に、ソフトすぎる傾向がある気がする。
(自分はまだモスクワにもトロントにも行ったことがないから、
日本と海外の比較はできないが)。

システマはリラックスを重視する武術だから、
力を抜いて繊細に動いた方がよいのはもちろんではあるが、
気をつけていないと、フワッとした馴れ合いの練習になる危険性もあると思う。

とはいえ、当然のことながら、相手に深刻なダメージを与えたり、
トラウマを植え付けるような攻撃はやってはいけない。
だから、練習の際には、「真剣にリアルに強くやりつつ、怪我はさせない」ような
動きの精度やコントロールが非常に重要だと考えている。

ということで、今回のクラスの前半は、
動きの自由度と精度を高めるワークや、
ストライクの効果・威力をコントロールするワーク、レスリングなどで
膠着した時に力に頼らずに相手をコントロールする技術・・などを練習した。

そして、参加者の皆さんの状態を良い感じに仕上げた上で、
後半の「第10回 システマ風掛け試し」を実施した。

ご参考までに、このクラスの練習内容の一部を
画像とキャプションでご紹介したい。

 

 

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【12/24(土)システマ南埼玉の練習風景①】 ストライクを相手に入れて、受けた人はそのダメージを1~10段階で評価するというワーク。ストライクの効果を精密にコントロールする感覚が身につくので、自分はこのワークがかなりお気に入りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ワークの前半は打ち手・受け手がお互いに静止した状態で行い、後半はお互いに動きながら行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ南埼玉の練習風景②】 倒れないように抵抗する相手を、力に頼らずにシステマの原理を使ってテイクダウンする、というワーク。掛け試しなどのフリーワークの際には、組み合って力と力のぶつかり合いになり膠着しがちなので、その対策として練習してみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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このような膠着対策に生かせるシステマの技法は、細かく分類すると無数にあるので、パッと思いつくままに白板に書いて整理してみました。しかし、どのような技法も結局のところ、システマの四大原則に収斂されるため、この技法を使って倒そう、などと考えない方がいいと思います。相手が頑強に抵抗しても、しっかり呼吸して、リラックスして、姿勢を正して、動きを止めなければ、テイクダウンできるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第1ラウンド】いきなり掛け試し形式で行うと、力がぶつかり合う攻防になりがちなので、最初の4ラウンドは慣らし運転のフリーワークを行いました。こちらは、システマ南埼玉でよくやっているプッシュスパー。この段階では、自分から足を動かすというより相手のプッシュを受けて動くため、相手の動きに乗る感覚を養えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第2ラウンド】続いて、相手のプッシュに触れずにかわしてもよいというプッシュスパー。制空圏のようなコネクト感を使うことで、相手とぶつかり合わず滑らかに動く流水のような組手になります。このようなプッシュスパーをやっておくと、その後の掛け試しでも美しい攻防になることが多い印象です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第3ラウンド】攻め手と受け手を分けて、前半1分・後半1分でスイッチするフリーワーク。いきなり完全な自由攻防をやると相手の動きとぶつかりがちですが、攻め手と受け手を分けたフリーワークをやっておくと、相手の動きに乗る感覚を養った上で掛け試しに臨むことができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第4ラウンド】慣らし運転の仕上げとして、完全な自由攻防を、通常の半分程度の速さで丁寧に行いました。いきなりリアルスピードでなく、ゆっくりのスパーをやっておくと、精度の高い攻防感覚を養えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第5ラウンド】ここからは、ガチンコのシステマ風掛け試しです。自分も全てのラウンドに参加しましたが、このラウンドでは、空手・キック経験者のSさんと楽しくスパーできました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第6ラウンド】システマ太田のT羽田IiTとの対戦。T羽田IiTはシステマの原理を守って動こうとしたため、基本的に待ち・受けの姿勢でしたが、自分は「攻めるシステマ」を試してみました。お互いがイケイケの攻めでもなく、カウンター狙いの受けでもなかったので、けっこう良い具合に嚙み合った感がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ南埼玉の練習風景③】ここでいったん掛け試しを中断して、景気づけのワークを挟みました。対面する2人が近づいてきて、1発のストライクを同時に打ち合うことから始めて、5発まで上げていき、最後は1発まで落として終了、というワークです。このワークは気合が入り、エネルギーが充填されるので、掛け試しの後半にも勢いがついたと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第7ラウンド】システマ群馬のN呂IiTとの対戦。「怪我しない範囲でなるべく強く」と自分で言っておきながら、普段とはガラっと変わって予想以上に攻撃的なN呂IiTに少し面食らいましたが、スリリングな攻防を楽しめました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第8ラウンド】自分はYさんと対戦。システマだけでなく、ボクシング的なステップや、中国拳法ぽい動きも織り交ぜてくるので、なかなか手強く感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第9ラウンド】自分はこのラウンドは撮影係でしたが、皆さんの動きをじっくり見ることができて、大変参考になりました。自分の動きを動画でチェックするのはもちろんですが、他の人の動きを見るのも勉強になるのでおススメです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【12/24(土)システマ風掛け試し・第10ラウンド】最終ラウンドは、Sさんとの対戦。普段よりかなり攻撃的なSさんの動きに手を焼きましたが、スリルがあって楽しかったです。「第10回システマ風掛け試し」にちなんで第10ラウンドまでみっちりと濃いスパーを行うことができ、自分の格闘欲もかなり満足できました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は過去最多の合計10ラウンドの掛け試しを行ったが、
普段は主に動画の撮影係を担当している自分もほぼ全てのラウンドに参加した。

打撃だけでなくレスリングやグラウンドも含めた自由攻防を
10ラウンドもやったから、それなりに疲れはしたが、
充実したスパーができて、非常に楽しかった。

クラスの前半で動きの精度やコントロールを高めておいたせいか、
「システマ風掛け試し」でも全体的に
なかなか良い動きをしていた人が多かった印象がある。

また、掛け試しという取り組みも今回で10回目になるから、
力がぶつかり合う軍鶏の喧嘩のようなスパーでなく、
システマらしい攻防感覚を活かしてフリーワークを行う姿勢が、
かなり浸透してきたなと手ごたえを感じた。

参加者の皆さんには、ストライクを「怪我しない範囲でなるべく強く打つ」よう求めたため、
普段よりは激しい攻防が目立ったが、大きな怪我をした人がいなかったのにはホッとした。
(かすり傷程度の人はいたが。)

これくらいの強度のフリーワークであれば、実施しても問題なさそうだと確認できて良かった。
馴れ合い感を排除し、適度にガチンコ気味に取り組むが、
怪我をするような無理はしない・・・くらいにやれば、自由攻防を最も楽しめると思う。

今後も引き続き、楽しく密度の濃い掛け試しを
続けていきたいと考えている。