2月9日(土)・10日(日)の2日間、システマジャパンの主催により、
東京都江東区のフットサルクラブ東京 東陽町体育館にて、
モスクワ本部のシニア・インストラクター、
ヴラディミア・ザイコフスキー師の東京セミナーが開催されました。
自分はここ数年、いろいろと忙しくなり、
システマのセミナーには1日だけ参加する場合も増えてきましたが、
今回は幸いに、2日間通して参加することができました。
セミナーを終えて振り返ってみると、
今回は特に、2日間かけてザイコフスキー師のシステマを学べたことは
大正解!だったと感じています。
■セミナー1日目の感想
最近はシステマのセミナーが立て込んでおり、
ザイコフスキー師のセミナーも大阪ですでに開催しているということで、
参加者はそれほど多くありませんでした。
もっとも、参加者の顔ぶれを見ると、
インストラクターなどのシステマ歴の長い濃い目の人達が目立ち、
じっくりと最先端のシステマを吸収しようという熱気を感じました。
今回のセミナーのテーマは、『状況把握と正確性』ということでした。
ただ、基本的には、数年前からザイコフスキー師が伝えている
インターナルフォームを活用するということで、
流れとしては過去のセミナーから一貫していると思います。
ザイコフスキー師は今回のセミナーで、
フィジカルの面はもちろん、メンタルの面でも「頑張らない動き」を強調しており、
「インターナルフォーム」という言葉は説明に使っていませんでしたが、
本質的には同じようなことを言っているのだろうと自分は理解しました。
2016年の来日セミナーあたりだったと思いますが、
自分が最初にインターナルフォームの感覚、概念をザイコフスキー師から教わった時は、
何だかもう、とてつもない究極的な領域にまで達してるんだなと感じました。
それから毎年、来日セミナーに参加する度に、
ザイコフスキー師のインターナルフォームのレベルがさらに上がっていくのには驚かされます。
今回のセミナーでは特に、ザイコフスキー師の
動きの純度、パワー、切れ味、クオリティ・・・などなどが、
以前よりも数段上がっているように感じられました。
もう本当に、素晴らしい!!としか言いようがありません。
セミナー参加者の立場としては、
数年前にインターナルフォームの感覚、概念を知った時には非常に難しく感じたものですが、
毎年ザイコフスキー師のセミナーに継続して参加している内に、
少しずつインターナルフォームへの理解が深まってきました。
昔に比べれば、螺旋階段のだいぶ上の方を登っているような感じがあります。
今回のセミナー1日目は、ローリングから始まり、様々な対人ワークを通じて、
「頑張らない動き」を実現することに、かなりの時間を費やしました。
じっくりとワークを重ねる度に、インターナルフォームを活用する感覚、
内面の頑張りや力みのないクリアな動きの感覚が、かなり馴染んできました。
セミナー1日目が終わった頃には、今年のセミナーは大当たり!だったなと満足感があり、
2日目ではさらにこの感覚を練り込めるだろうと期待が膨らんできました。
正直に言えば、セミナーの中で長時間にわたり延々とワークが続き、
なかなか昼休み時間にならなかった時には、
めちゃくちゃ腹減ったな・・・いつになったら昼飯が食えるんだろう!?・・という思いもありました。
ザイコフスキー師によれば、ランチ休憩になると、
それまで練り上げてきた感覚がすっかり飛んでしまって台無しになることが多いから、
わざと昼休みを遅らせた、とのことです。
確かに、休憩なしに集中してワークに没頭している内に、
かつてないくらいに良いステイトに仕上がった感はありました。
結局はその後、遅めのランチ休憩となりましたが、
昼飯抜きで得たこの感覚を、いつでも再現できるようにしたいものだと思いました。
■セミナー2日目の感想
セミナー2日目も1日目と同様に、フィジカル・メンタルの両面で
「頑張らない動き」ということが練習のテーマでした。
この「頑張らない動き」をものすごくザックリと単純化して表現すると、
穏やかなステイトで、インターナルフォームで動く、
というここ数年のザイコフスキー師のシステマの延長線上にあるものだと思います。
それを、過去のセミナーより大分レベルを上げて練習した印象です。
セミナー2日目は参加者のステイトがかなり仕上がってきたということで、
その「頑張らない動き」を、スピードを上げたり、打撃中心の自由攻防をしたり、
グラウンドのスパーをしたりと、より負荷が高い状況で実践することを目指しました。
セミナー1日目はザイコフスキー師の動きのクオリティが
以前より数段上がったなと感じましたが、
2日目はザイコフスキー師のリードの素晴らしさを実感しました。
システマのセミナーに参加して、マスターやシニア・インストラクターと組ませてもらうと、
その直後は、自分より格段にハイレベルなステイトや動きの感覚が体感として転写されて、
しばらくの間は非常に良い動きになることがあります。
ファミコンゲームに例えれば、スターを取って無敵になったスーパーマリオのような感じで、
「ミカエル感」や「ダニール感」をまとった良い動きが続くわけです。
もっとも自分の場合、その感覚は数分くらい経てばすっかり消えて、
普段の動きに戻ってしまうことがほとんどでした。
しかし、今回のセミナーでは、自分だけでなくワークで組む人が皆、
ザイコフスキー師と組んだ後ではリラックスした動きになり、
しかもそれがなかなか消えずに、ずっと続いていました。
集中力が切れたり、緊張したりしてステイトが乱れても、
割合にすぐに良いステイトに回復できていたように思います。
それが非常に素晴らしいことだなと感心しました。
今回のセミナーでは、非常に繊細にじっくりと良いステイトを作り、
それが乱れたらすぐに回復するようにザイコフスキー師から指導されていましたから、
ステイトの在り方が高い次元で安定したのだろうと思います。
今後は、これくらいのステイトが平均的なレベルとなり、いつでも再現できるようになれば、
自分のシステマも一気に向上するだろうなと楽しみになりました。
それにしても、ザイコフスキー師と何度もじかに組んで
デモをしてもらえたことは、非常に貴重な経験でした。
ザイコフスキー師は自分の他にも、
延べ回数でいえば何百回もセミナー参加者の相手をしていましたが、
自由で穏やかなステイトが全く乱れないのには驚嘆しました。
グラウンドのスパーで延々と対戦相手のキツい攻めを受けても、
ずっと平然と涼しげに捌くザイコフスキー師の姿は、
達人というより超人的な印象すら受けました。
このステイトのクオリティと強靭さは、凄すぎるなと感動しました。
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今回のザイコフスキー師の東京セミナーに参加して思ったのは、
武術ではやはり、体感が大事だということです。
今の時代、YouTubeやDVDや書籍などで、いくらでも武術や格闘技の情報は入ります。
しかし、自分の体で得た体感による一次情報は、その何倍も貴重だと思います。
今回のセミナーでは、ザイコフスキー師の動きの純度、パワー、切れ味、クオリティを
何度もじかに体験できて、大変参考になりました。
これで得られた体感は、セミナー参加費の何倍も価値があったといえます。
ザイコフスキー師の動きの「この感じ」に、
自分だけの試行錯誤で到達しようとしたら、何十年かけても無理かもしれません。
それを一気にショートカットできるわけですから、最高です。
なお、自分はいったん考えを整理するために、
このような記事でセミナーの感想をまとめていますが、
基本的には、なるべくシステマについて概念的な解釈はしないように心がけています。
昨年のセミナーあたりから、ザイコフスキー師が
「インターナルフォーム」という言葉をほとんど使わなくなったのは、
シンプルな言葉で抽象化してしまうと、
そこからこぼれ落ちてしまうニュアンスが多すぎたり、
言葉が一人歩きしてしまうからだと思います。
今回のセミナーでは、ザイコフスキー師は細かい言葉を補って、
動きやステイトの正確なニュアンスまで伝えてくれています。
(こんな具体的なことまで気前よく教えてくれていいの!?と驚くほどです。)
また、何より、ザイコフスキー師と組むことでリアルな体感が伝わりますから、
今回のセミナーに参加した人は皆、とんでもなく豊かな体験をしたと思います。
自分の中では、新しい扉が開いたような感覚があり、
これからのシステマ修行が楽しみになりました。
このセミナーで得た体感を、地道に練習して血肉化していきたいですね。
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長文になりましたが、今回のセミナーは
ここ数年間に参加した中でも、特に満足度の高いものでした。
今後もザイコフスキー師のセミナーだけは外せないなと思いました。
素晴らしいセミナーを開催してくれた
ザイコフスキー師とシステマジャパンの皆さんに心より感謝いたします。
ありがとうございました。
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◆システマ南埼玉◆
月曜(夜練) 22:00~23:30
木曜(夜練) 22:00~23:30
土曜(通常クラス) 9:30~12:00
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