1月28日(土)に行った通常クラスと
「第11回 システマ風掛け試し」の感想を書いておこうと思う。
通常クラスでは前回に引き続き、
クワン・リー師の来日セミナーのシェアをガッツリとやりたいところだったが、
あえて趣向を変えて、「ショートワーク」をテーマに練習してみた。
ショートワークはシステマの強さ、実戦性を支える大きな要素だと思います!
というのも、システマ南埼玉では、
掛け試しなどのフリーワーク(スパーリング)をよく行っているが、
スパー形式になるとどうしても、最初から構えを取ったり、
遠間から見え見えの攻撃を仕掛けたりと、動きがロングワーク気味になる傾向がある。
システマ風掛け試しも10回ほど行ってきて、
そのコンセプトも浸透してきているし、常連メンバーの動きもかなり練れてきていると感じる。
しかし、後で掛け試しの動画を見てみると、どうもシステマらしい攻防という感じがしない。
それはなぜかと考えてみると、参加者の皆さんにショートワークの意識と、
コネクト感覚がないのが主な原因だという気がする。
コネクト感覚の養成にはかなりの時間を要するから、
今後の課題として置いておくとして、
まずはショートワークの意識だけでも
念頭に置いてスパーリングをしてほしいと思った。
ということで、今回はクラスの前半でショートワークの感覚をみっちりと養った上で、
後半の「第11回 システマ風掛け試し」を実施してみた。
ご参考までに、このクラスの練習内容の一部を
画像とキャプションでご紹介したい。
【1/28(土)システマ南埼玉の練習風景①】 ショートワークの大きな要素である見えない打撃、ステルスストライクを練習しました。相手との距離や角度、拳の出し方・・など、どのようにしたら相手から見えないように打てるか、お互いに意見交換しながら検証してみました。
【1/28(土)システマ南埼玉の練習風景②】 攻め手がホールドやプッシュ、ストライクしてくるのに対し、ショートワークで対処するというワーク。
【1/28(土)システマ南埼玉の練習風景③】 前回のクラスでもシェアしましたが、クワン・リー師のセミナーで教わった「歩くように蹴る」という手法を練習しました。自然に歩を進める延長で足を延ばせばキックになるというわけです。起こりがないので相手からすれば読みづらいですし、体重も乗るので威力も出ます。
また、この手法を拳でのストライクに応用して、歩く勢いを拳に乗せてストライクするのもやってみました。これも、ボクシングのジョルトブローみたいなもので、威力は相当出ますね。
後半のシステマ風掛け試しでは、前半に養ったショートワーク感覚を活かせるように、
慣らし運転のラウンドを重ねながら、徐々に実戦の形に近づけていった。
【1/28(土)システマ風掛け試し・第1ラウンド】 今回の掛け試しは、徹底的にショートワークにこだわる方針でやってもらいました。ただ、相手の攻撃を待ってカウンターでショートワークをやるのは比較的簡単ですが、攻める時こそ隙が大きくなったり、ロングワークになりがちです。そのため、スパーリングの際はお互いにカウンター狙いになり膠着するおそれがあります。それを避けるために、相手に近づいてショートワークで攻めるという「攻めのショートワーク」をやってもらいました。 攻め手と受け手に分けて、攻め手は受け手に近づいて、握手をするような感じで自然に手を上げていき、その延長線上でショートワークする、という流れです。ショートワークとしては、ストライクをしてもいいし、ホールドしてもいいし、握手をしても何でもいいですが、受け手に何をするのか読まれないようにすることを意識してもらいました。前半の1分、後半の1分で攻守を交代する形で行いました。
いきなり掛け試しでショートワークを使うというのも難しいので、こういった取り組みは慣らし運転のラウンドとしては良かったんじゃないかと思います。
【1/28(土)システマ風掛け試し・第2ラウンド】 引き続き、前半1分・後半1分で攻守に分けて、攻めのショートワークをしてもらいました。2ラウンド目にもなると、少しは自由攻防の中でのショートワークにも慣れてきたような気がします。
【1/28(土)システマ風掛け試し・第3ラウンド】 このラウンドでは、攻守を決めず、お互いにショートワークし合う、という方針で行いました。ただ、スピードはゆっくりと、丁寧に精度重視でやってもらいました。
【1/28(土)システマ風掛け試し・第4ラウンド】 第4ラウンドからは、いよいよ何でも有りの本番の掛け試し。全ての攻撃をショートワークにするというのも無理がありますが、なるべくショートワークを活用する、という方針で行いました。このラウンドからは自分も参加しましたが、相手がショートワークを意識してくると、以前よりかなり手強く感じました。緊張感ある攻防ができて楽しかったです。
【1/28(土)システマ風掛け試し・第5ラウンド】 自分は空手・キック経験のあるSさんと対戦。Sさんは今回のクラスで練習した「歩くように蹴る」という手法を早速活用していたので感心しました。こういう動きをされるとやりづらいものですね。
【1/28(土)システマ風掛け試し・第6ラウンド】 自分はシステマ南埼玉の巨神兵・Sさんと対戦。自分よりデカい相手と対戦すると威圧感を感じますが、そういう時こそ、ショートワークを活用した方がいいと思います。例えば、ボブ・サップを相手に真正面からビシバシドカドカと打ち合うドラゴンボール的な攻防はやってられないわけですからね。
【1/28(土)システマ風掛け試し・第7ラウンド】 自分はAさんと対戦。Aさんはシステマ南埼玉に一番熱心に参加しているし、動きもかなり練れてきていますが、遠間からビュンビュンと腕を振り回すような戦闘スタイルがもったいないなと感じていました。
このラウンドの後半は、無駄に腕を振り回さずにショートワークを意識してもらったところ、格段に手強くやりづらい感じが出てきました。ちょっとしたきっかけでシステマの実力が一気に上がることはよくありますが、ショートワークを意識するというのも、レベルアップには非常に効果的だと思います。
このように、今回のクラスと掛け試しでは、
徹底的にショートワークにこだわってみた。
ショートワークを練習すること自体が初めてという人が大半だったから、
少しぎこちない感じもあったが、今回のクラスで練習しただけでも、
参加者の皆さんの動きの質がだいぶ向上した印象がある。
掛け試しに自分も参加してみて、
ショートワークを使える相手と対戦すると、かなり手強く厄介だなと思った。
今後も参加者の皆さんがショートワーク感覚を養っていけば、
システマ風掛け試しのレベルも相当上がっていくんじゃないかと楽しみになった。
さらに、高度なコネクト感覚を自由攻防の中で活用できるようになれば、
システマ南埼玉のレベルも飛躍的に上がるだろうと思う。
(自分もまだまだだが・・・)
以前のブログ記事にも書いたが(スローワーク、フリーワーク)、
自由攻防をやる場合、よほど注意していないと、
格闘技的には良い動きでも、システマの視点から見ると良くない動きになることが多い。
無駄に攻撃的で、ビシバシドカドカと打ち合うドラゴンボール的な攻防になりがちな傾向がある。
今後のシステマ風掛け試しでも、細心の注意を払いながら、
システマらしい高度な攻防を目指していきたい。