8月27日(土)の通常クラス&第8回システマ風掛け試しの

感想をご参考までに書いておこうと思う。

この日も先週に引き続き、強い雨が降る悪天候だったが、
参加者7名とそこそこの人数が集まり、楽しく練習することができた。
掛け試しはある程度の参加者が集まらないと話にならないから、
何とか実施できそうでホッとした。

参加者は、システマ群馬N呂IiTをはじめとしたベテラン勢と、
システマ体験が1~2回目の初心者が、ちょうど半々くらいの構成だった。
人によってシステマの習熟度に大きく差があったわけだが、
今回のクラスのテーマがシステマの基本である「プッシュ&ムーブ」だったから、
初心者もベテランもその人のレベルに応じて
良い練習ができたのではないかと思う。

また、前回のテイクダウンのクラスでは、
内容を詰め込みすぎてワークも情報量も多すぎた感があったから、
今回は「プッシュ&ムーブ」だけにワークを絞り込んだことで、
初心者にも分かりやすいクラスになった気がする。

以下に、練習内容の一部を画像とキャプションでご紹介したい。

 

8.27 南埼玉①

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景①】 こちらのワークは、最近のクラスでシェアしているインターナル養成プッシュアップ。① 重みを水のように流し込む感覚、② 拳に予め集めた重みを送り込む感覚、③ 光のように一瞬でつながる感覚、の3つの感覚で、プッシュアップしてもらいました。 また、拳が捉える目標地点を、地中5cm、10cm、30cm、1m、100m…など自在に変えながらやってもらいました。 あとでインターナルを意識したプッシュを行う際、このプッシュアップで養った感覚が活きることになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.27 南埼玉②

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景②】拳の面全体を相手の体に当てていき、その拳が相手の緊張をしっかりと捉え、手首が真っ直ぐになる位置に体を移動させるワーク。体の都合に合わせて拳を当てていく人が初心者には多いですが、拳や手首の都合に合わせて体の位置を調整するという意識が大事です。この手の基本ワークは最近あまりやっていませんでしたが、今後はもっとやっていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.27 南埼玉③

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景③】 基本的なプッシュと受け流し。その前のワークの影響で、拳の当て方や真っ直ぐな手首にこだわってプッシュする人が多く、良い感じでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.27 南埼玉④

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景④】 こちらは、人それぞれに自分なりのテーマを設定して、様々なプッシュの打ち方や用法を試す、というワーク。 ◎ 手首真っすぐ、拳から打つという基本にこだわったプッシュ(特に初心者向け)  ◎ 相手に方向を入れてプッシュすることでコントロールしたりテイクダウン  ◎ プッシュで相手の重心を捉えて、電車道で一気に体ごと押し込んでいく  ◎ プッシュで筋膜を捉えてコントロールする  ◎ インターナル養成プッシュアップの感覚で、インターナルを意識した高度なプッシュを行う  ◎ プッシュ万能論を検証するために、相手にホールドされた状態、マウントされた状態など、様々な状況を設定してプッシュで打開する …などなど、自分の好きなテーマを設定して、20分ほどみっちりプッシュの可能性を探求してもらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスの後半は、「第8回 システマ風掛け試し」を実施した。
今回は、クラス前半で養ったプッシュ&ムーブの感覚を活かすために、
「プッシュスパー大会」という形で発展させていくことにした。
また、プッシュスパーはシステマらしい攻防感覚を養うのに最適だから、
いきなり何でもありの掛け試しをやって雑な攻防になるよりは、
プッシュスパーから慣らしていった方がよいだろうという狙いもあった。

以下に、7ラウンド行ったプッシュスパー大会の様子をご紹介したい。

 

8.27 南埼玉⑤

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景⑤】 こちらは、システマ風掛け試し、ラウンド1。足を止めてのプッシュスパー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.27 南埼玉⑥

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景⑥】 ラウンド2も引き続き、足を止めてのプッシュスパーで練り込みました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.27 南埼玉⑦

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景⑦】 ラウンド3も引き続き、足を止めてのプッシュスパーで練り込みました。今回は初心者の方が多いため、まずはごく基礎的なワークでシステマらしい攻防感覚を養いたいと思いました。なお、撮影係&タイムキーパーの自分も見ているだけではつまらないので、このラウンドから参加することにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.27 南埼玉⑧

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景⑧】 ラウンド4は、必要に応じて、足を動かして体の位置を変えてもよい、という形式に発展させました。位置取りの要素を加えたため、少しずつ実戦の感覚に近づいていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.27 南埼玉⑨

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景⑨】 ラウンド5も引き続き、足を動かしてもよいプッシュスパー。自分はシステマ南埼玉の巨神兵・S藤さんと組みました。S藤さんは体のフレームがデカくて繊細さもあるので、油断すると体を押し込まれてしまいます。なかなか緊張感ある攻防を楽しめました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.27 南埼玉⑩

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景⑩】ラウンド6。ここからは、プッシュを体に触れさせずにかわしてもよい、という形のプッシュスパーに発展させました。しかし、自分の好き勝手に動くのではなく、体の皮膚感覚を体表から数㎝ほど拡張させて、あくまでも相手のプッシュに架空の体が押されて動く感覚で動いてもらいました。自分の体がミシュランマンとかマシュマロマンみたいに拡大した感覚だとよいかもしれません。この感覚で動くと、ぶつかり合うような雑な戦いにならず、流れるような美しい攻防になります。また、ほとんど実戦に近い感覚を養えますね。 自分は、システマ群馬のN呂IiTを相手に、なかなか良い感じの攻防感覚を楽しめました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.27 南埼玉11

【8/27(土)システマ南埼玉の練習風景11】 最終のラウンド7。引き続き、体の感覚を拡張してのプッシュスパー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本来ならプッシュスパーを数ラウンドこなした後は、
プッシュスパーで養った感覚をベースに
通常の何でも有りのシステマ風掛け試しをやる予定だった。
しかし、残念ながらプッシュスパーの7ラウンド目で時間切れになってしまった。

もっとも、参加者の半分が初心者でも
ベテランを相手に自由攻防が楽しめたわけだから、
今回のプッシュスパー大会の試みはかなり成功したという気がする。

システマ南埼玉では、
スパーリングやフリーワーク、掛け試し・・などの自由攻防を
クラスの最後の仕上げとして行なうことが多い。
おそらく、日本の他の団体と比べても、
自由攻防を頻繁に行っている方だと思う。

それは単純に主宰者の自分がスパーリング好きだからだし、
実戦的な状況に柔軟に対応できる力を磨くために、
練習の中にある程度は入れておいた方がよいと考えているから。

ただ、スパーリングとなると、恐怖感や勝負にこだわる気持ちのために、
ついつい緊張してしまって、システマらしい自由でリラックスした攻防から離れてしまう傾向がある。
特に、システマの初心者は、打撃を受けたりテイクダウンされる恐怖感から、ガチガチに固くなることが多い。
だから、スパーリングを練習の中にどのように取り入れていくかは、
ここ数年のシステマ南埼玉の課題の1つだった。

今回、実験的にプッシュスパー大会という形でシステマ風掛け試しを実施したわけだが、
「システマらしい自由攻防」を無理なく練習の中に取り入れていくための
1つの答えが得られたという気がする。

通常のスパーリングであれば、初心者とベテランが対戦した場合、
片方が何もできずやられてしまうような一方的な攻防になりやすい。
また、お互いの実力が均衡していた場合も、勝負にこだわるあまり、
ずっとお見合い状態が続くようなこともよくある。

一方、プッシュスパーの場合は、
まずプッシュして受け流すという接触から始まるわけだから、
初心者でもベテランと対等に戦っている満足感が得られると思う。
また、不毛なお見合い状態が続くことはなく、
常に相手と接触した濃密な攻防から非常に多くの学びが得られる。

通常のスパーリングでは、システらしくない勢い任せ、力任せの戦い方でも相手を圧倒できることもあるが、
プッシュスパーでは純粋なシステマの実力がそのまま反映されるといえる。
相手の力の流れを繊細に感じ、柔らかく受け流し、相手の緊張に適切にアプローチする・・・。
そのようなシステマの原理に忠実に動かなければ、相手を崩すことは難しい。
だから、繰り返しになるが、システマらしい攻防感覚を身につけるには、
プッシュスパーは最適なワークだと自分は考えている。

個人的には、プッシュスパーという形式であれば、
自由攻防の中でインターナルワークを積極的に試すことができる点も気に入っている。

ここ数年、システマ界ではインターナルワークが盛んになっている。
インターナルワークを身につければ、ストライクもテイクダウンでも何でも、
全ての動きの効果・威力が格段に向上するから、自分も熱心に修行してきた。

しかし、自由攻防の中で、流れに任せて、
インターナルを意識した強力なストライクを相手に入れた場合、
おそらく相当なダメージを与えてしまうと思う。
だから、スパーリングではインターナルワークをうかつに試せないな・・という気がしていた。

その悩みも、プッシュスパーが解決してくれることが今回のクラスで分かった。
インターナルを意識した強力なプッシュを入れても、
相手が吹っ飛んだり、大きく崩れるだけで、深刻なダメージを与えることはない。
これで、いくらでも自由攻防の中でインターナルワークが試せるな・・と嬉しく思った。

今後も「システマ風掛け試し」は毎月1回ほど定期的に続けていくつもりだが、
プッシュスパー形式の掛け試しは近い内にまた実施したいと考えている。