7月18日(土)・19日(日)にシステマジャパンにより開催された
マックス・フランツ師の来日セミナーに参加してきました。
マックス師といえば、トロント本部でクラスを持ち、
ヴラディミア師の信頼も厚い凄腕のシニア・インストラクターです。
長身で筋肉質な風貌や、若い頃はロシア軍でスナイパーを務めていたという経歴も含め、
パッと見にはイカツい怖そうな印象がありますが、
実際はよく小粋なジョークを飛ばす気さくなナイスガイです。
私はマックス師が前回来日した2013年の大阪セミナーにも参加しましたが、
マックス師のシステマは非常に精密で練度の高いシステマだなという印象でした。
自分のシステマに取り入れられそうな材料をたくさんもらえて、
大変お得なセミナーだった記憶があります。
また、東京では昨年から大サーシャ、ミカエル・・と、
モスクワ本部のマスター、シニアインストラクターによる
セミナーが続きましたが、今回は久しぶりにトロント本部系のシステマのセミナーになるため、
個人的に今回のマックス師のセミナーもかなり楽しみにしていました。
・・・ということで、今回のセミナーに参加したわけですが、
会場の豊洲テントドームが非常に蒸し暑く、滝汗クリステル状態になって参りました。
なかなか厳しい環境でしたが、いかなる状況でもkeep calmする良い練習になりましたね。
今回のセミナーのメインテーマは「ストライク&動きながらのストライク」 。
その他、恐怖のコントロール、コンバット時の緊張のコントロール、
ナイフディフェンス ・・などもカバーしていました。
マックス師から教わった具体的な内容は、
今後のシステマ南埼玉で復習&シェアしていきますので、
この記事では今回のセミナーで印象に残った点をお伝えします。
① リードの仕方が丁寧で分かりやすい!
モスクワ本部のマスターやシニア・インストラクターは
1つ1つのワークに時間をかけて
じっくりと繊細に練り込むようなリードの仕方をします。
一方、トロント本部の人達は、
次々に数多くのワークを重ねていくことで
システマへの理解を深めていくようなリードをする印象があります。
マックス師も、短めのワークを次々に進めていくやり方でしたが、
丁寧に段階を踏んでくれるので、非常に理解しやすいリードでした。
参加者の動きを見ながら、臨機応変にワークを変更することもあるようでした。
また、マックス師の動きに説得力があるのはもちろんですが、
口頭での説明もロジカルでとても分かりやすいものでした。
モスクワ本部のミカエル師やザイコフスキー師は、
高度な達人的な動きをデモで呈示して、
「はい、みんなもやってみて」というリードをします。
階段を2段も3段も飛ばして駆け上がるような、
日常的な動きから飛躍した感覚があり、そこが大きな魅力だといえます。
しかし、システマの初心者には、かなり難しく感じられるかもしれません。
その点、マックス師のリードは、
易しい動きから高度な動きへと無理なく進み、
階段を1段ずつ丁寧に登っていくような感覚です。
特に、システマ初心者には非常に分かりやすいリードだろうなと感心しました。
マックス師のきめ細かいリードの仕方は、
今後のシステマ南埼玉のクラス運営の上でも
ぜひ参考にしようと思います。
② 歩法の重要性
今回のセミナーでは、相手のホールドやストライク、
ナイフへの対処を主に練習しましたが、
マックス師は歩法を使って常に体を動かし、
攻め手に対して快適な間合い・ポジションを取ることを
何度も強調していました。
自分も、歩法はシステマのトレーニングの中でも最も重視しているので、
基本的に毎日練習しています。
ただ、それでも体を動かすことをついついサボってしまい、
相手の攻撃をその場で迎撃したり、
腕だけで捌いたりすることがあります。
なので、セミナーの間、マックス師の教えに従い、
横着せずに体全体をしっかりと動かして、
快適な間合い・ポジションを取るよう心掛けてみました。
すると、相手の攻撃を心配せずに、自分の攻撃に集中できて、
ストライクもテイクダウンの効果も格段に上がることを
改めて実感しました。
今後も、歩法の練習はサボれないなと、しみじみ思いました。
③ リアリティの追求
セミナーの中で、ウォーミングアップとして、
ペアを組んだ者同士がお互いにテイクダウンしたり、
グラブエスケープするワークをやった時のことです。
マックス師から参加者全員に注意が入りました。
「必要でないのに倒れないで下さい」
「そんなことでは、トロント本部の人達は誰も倒れません」
マックス師に言わせれば、日本人は簡単に倒れすぎるようです。
相手の力に無理に抵抗するより、柔らかくグラウンドに落ちればいいという
意識の人が多い気がしますが、マックス師はかなり不満のようでした。
自分自身を振り返ると、あまり効果的でないテイクダウンでも、
場の空気を読んで接待プレイ的に倒れることが全くないとはいえません。
その辺りは、相手を立てる日本人的な美徳かもしれませんが、
そんな気遣いは上達のためには邪魔になるだけだと思います。
マックス師の指摘を聞いて、練習の取り組み方について反省させられました。
また、マックス師は相手が一定の間合いまで近づいてきたら、
必ず手を上げて攻撃に対して準備するように、とも強調していました。
相手が間近に迫っても手をだらりと下げているような
不自然な隙だらけの状態は、マックス師の感覚ではありえないようです。
自分もマックス師のように、どのワークでも馴れ合いでなく真剣に、
実戦を意識して取り組まないといけないなと思いました。
ミカエル師がニュースクールを提唱して以来、
自分はモスクワ本部系の繊細なインターナルワークを熱心に練習してきましたが、
それだけでは、幻想の世界に入ってしまう危険性も感じています。
戦いのリアリティを厳しく追求した
トロント本部系のコンバティブな練習も必要だと思います。
とは言っても、モスクワ本部系のシステマも、トロント本部系のシステマも、
アプローチが違うだけで目指す境地は同じはず。
今後のシステマ南埼玉では、モスクワ本部系、トロント本部系の
それぞれの良い点を取り入れながら、バランスよい形で練習していこうと考えています。
・・・と長々と書いてきましたが、セミナーの感想を一言でいえば、
マックス師は最高!ということです。
マックス師の機能美すら感じさせる
シンプルかつリアリティのある動きはとにかく素晴らしかったです。
練習に取り組む姿勢にも大いに共感しました。
前回の大阪セミナーでも感銘を受けましたが、今回のセミナーで
すっかりマックス教の信者になってしまいました。
今までシステマを修行してきて、たまにはマンネリ気味になることもありましたが、
マックス師のセミナーを受けて、自分はこんなシステマがやりたいんだなと再認識しました。
システマを始めた当時の熱い気持ちがよみがえってきましたね。
今回のセミナーに参加して、本当に良かったです。
いずれは自分もトロント本部に修行に行って、
マックス師にトロント基準でビシビシしごかれたいと思います。