5月3日(金)・4日(土)・5日(日)に行われた
ミカエル・リャブコ師 & ダニール・リャブコ師の
東京 ”Origin” セミナーに参加しましたので、その感想を書いておきます。
自分は今年の東京セミナーのテーマが
「ノンコンタクトワーク」(アンコンタクトワーク)だと知った時、
随分と思い切ったテーマを設定したものだと感じました。
というのも、ノンコンタクトワークを簡単にいえば、
「相手に触れずにコントロールして、飛ばしたり、崩したりする」
というわけですから、システマをあまり知らない人からすれば、
非常に胡散臭い神秘系武術のように捉えられるかもしれません。
言葉は悪いですが、かなりインチキ臭いと思われるリスクもあるような気がします。
この記事を書いている自分としては、過去の東京セミナーで、
ミカエル師に非接触で何度も飛ばされた経験がありますから、
ノンコンタクトワークのリアルな有効性について疑いの気持ちは全くありません。
自分は相手がどんなに偉い人でも、
尊敬の念から盲信するような素直な性格ではないですから、
かなり昔の東京セミナーの際、ちょっと失礼かもしれませんが、
「触れずに飛ばせるもんなら飛ばしてみて下さいよ!」という気持ちで
ミカエル師に向かって行ったことがあります。
しかし、どんなに頑強に抵抗してやろうという意識で組もうとしても、
問答無用で、ブワ~ッと風圧に跳ね飛ばされるように、
ミカエル師にノンコンタクトでコントロールされて、振り回されてしまいました。
その不思議な感覚は現在に至るまで、体の中にずっと生々しく残っています。
だから、システマのノンコンタクトワークは、
師匠に対する信頼感(ラポール)や、その場の空気の影響から、
受ける側が「自ら飛んでしまう」ような生易しいものではない、
と確信をもって言えます。
とはいっても、ノンコンタクトワークは
インチキ臭い催眠術的なものではないことは確かですが、
それが成立する背景にはおそらく、難しく高度な理合があるはずです。
それだけに、システマの経験が浅い人も大勢集まる東京セミナーで、
相当にハイレベルな「ノンコンタクトワーク」をテーマに設定して、
どれだけの参加者が十分に理解できるのだろうか・・という懸念を持ちながら、
自分は今回の東京セミナーに臨みました。
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■5月4日(土)セミナー2日目
残念ながら5月3日(金)のセミナー1日目は都合がつかず、
自分は5月4日(土)の2日目から参加しました。
ちょっと出遅れた感はありましたが、セミナーの冒頭でミカエル師から
「インストラクターは昨日の練習内容を参加者の皆さんにシェアして下さい」
という指示があり、1日目の練習内容の復習の時間を
設けてくれたため、大変助かりました。
前日の復習が一通り終わった後、セミナー2日目のワークを新たにやったわけですが、
基本的には1日目と同様に、ひたすら「ノンコンタクトワーク」を練習しました。
今回のセミナーほどノンコンタクトワークにフォーカスして
集中的に学ぶ機会は滅多にないため、貴重な経験になりました。
セミナーを通じて、ミカエル師もダニール師も、
ノンコンタクトワークを練習する際には「忍耐力」が大事だと強調していました。
自分はどちらかというと、動きはシンプルにスパッと済ませたい方ですから、
じっくりと感覚を研ぎ澄ませて、相手の状態を辛抱強く感じながら練習するのは苦手です。
そのため、今回のセミナーで繊細なノンコンクトワークを練習する際には、
ミカエル師やダニール師が言うように、かなりの忍耐力が必要で、
精神的に結構疲れてしまいました。体だけでなく、脳にも汗をかいた感じです。
とはいえ、過去のミカエル師やダニール師のセミナーで
学んだ内容の集大成的な印象もあり、大変勉強になりました。
今年2月のザイコフスキー師のセミナーで教わった
「頑張らない動き」「フォーム」との関連も感じられました。
ザイコフスキー師のセミナーの後、
自分なりに練習してきた動きによって
ノンコンタクトで相手を崩すこともできたため、
今までのシステマ修行の方向性が間違っていないことが確認できて、安心しましたね。
今までは割と敷居が高いと感じられていた
ノンコンクトワークが、グッと身近になった気がしました。
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■5月5日(日)セミナー3日目
5月5日(日)のセミナー3日目にも参加しましたが、
この日もひたすらノンコンタクトワークを練習しました。
連日にわたり、じっくりと練習したため、
高度で難しそうなノンコンタクトワークにも大分慣れてきました。
ミカエル師やダニール師が非常に丁寧に順を追って
ノンコンタクトワークの原理について説明してくれたので、
かなり理解を深めることができました。
ノンコンタクトワークは決して神秘的な達人技というわけではなく、
しっかりとポイントを押さえて正しい動きをすれば、誰にでもできることなのだと思えました。
とはいっても、セミナーを通じて
自分のノンコンタクトワークの精度は大分上がったんですが、
非接触で相手をアッサリと崩せる時もあれば、全然うまくいかない時もあり、
まだまだ効果が安定しません。
ミカエル師やダニール師のように、
百発百中の高い精度で相手に触れずに崩せる技量は、
やはり桁違いに凄い・・と感心しました。
ミカエル師やダニール師がノンコンタクトワークで相手を崩そうとする時、
何か特別な秘伝の技を繰り出そうというような力みは一切ありません。
自分にとって当たり前の動きをするだけ・・といった風情で、
非常に落ち着いた雰囲気で、ごく自然な動きで、相手を非接触で崩してしまいます。
戦いの際、ボクサーならまずは左ジャブを繰り出すでしょうし、
空手家ならとりあえずローキックを蹴ると思いますが、
ミカエル師やダニール師にとってのノンコンタクトワークは、
それと同程度に身体になじんだ基本的な動きなのだろうと感じました。
ミカエル師やダニール師は、ノンコンタクトワークをやる際、
「自分の動きに自信がないと成功しません」
「力のある動きでないと、うまくいきません」ということを強調していました。
非接触の相手を崩せるだけの影響力や説得力がある動きを身に付けるには、
数多くの練習を地道に重ねるしかないのでしょう。
今回のセミナーに参加して、お陰様で
モスクワ本部認定インストラクターの資格を更新していただけましたので、
今後もしっかりと練習に励んでいこうと思いました。
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セミナー全体を振り返ると、参加する前は
「インチキ臭い神秘系武術と思う人もいるのでは?」とか
「高度で難しすぎると抵抗感を示す人もいるのでは?」などの懸念もありましたが、
全くの杞憂に終わったように思います。
セミナーの参加者の中には、インストラクターや修行歴の長いベテランばかりでなく、
システマ経験が浅い人も数多くいましたが、
多くの人がノンコンタクトで崩せるようになっていましたし、
参加者全員が何かしらの良い感触や気付きを得たのではないでしょうか。
「ノンコンタクトワーク」という難しいテーマを分かりやすく伝えてくれた
ミカエル師とダニール師の指導力には脱帽です。
自分としても、目から鱗が落ちるような発見もあり、大満足のセミナーになりました。
今後の自分のシステマ修行の中では、
あえて「非接触で相手を崩す」という難しい行為そのものに
あまり重きを置かなくてもよいとは思います。
戦う上では、シンプルに相手にストライクを打ち込んだり、
相手と接触してテイクダウンなどすれば、簡単に制圧することができるわけですから。
しかし、ノンコンタクトワークが成立するための条件や術理を理解して、
その感覚を身に付けることができたら、動きの幅が相当広がるだろうと思います。
そうなると、物理的にコンタクトしていようが、
ノンコンタクトだろうが、あまり関係なくなるような高い境地に行けるでしょう。
そのような意味で、なかなか難しいテーマではありますが、
今までは苦手意識があった「ノンコンタクトワーク」(アンコンタクトワーク)にも
もう少し積極的に取り組んでみようという気になりました。
今回のセミナーで得られた様々な気付きについては、
今後のシステマ南埼玉のクラスで
積極的にシェアしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
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なお、ミカエル師&ダニール師の東京セミナーは終了しましたが、
5月7日(火)・8日(水)にはミカエル師の特別クラス、
5月14日(火)・15日(水)にはダニール師の特別クラスが東京で実施されるそうです。
また、5月11日(土)・12日(日)にはミカエル師&ダニール師の
大阪セミナーが開催される予定です。
ご都合がつく方はこの機会に、システママスターの
素晴らしい動きを体験されることをお勧めします!
※詳細については以下のサイトを参照下さい。
↓ミカエル&ダニールin東京特別クラスなど予定
http://ryabkotokyo.blogspot.com/2019/03/in.html
↓【2019年5月11,12日】ミカエル&ダニール・リャブコ 大阪セミナー 2019
http://systemaosaka.jp/topics/1819/
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◆システマ南埼玉◆
月曜(夜練) 22:00~23:30
木曜(夜練) 22:00~23:30
土曜(通常クラス) 9:30~12:00
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