5月13日(土)のシステマ南埼玉では、
前回のクラスに引き続き、スティックワークを練習した。

前回のクラスが好評で、またスティックワークを
実施してほしいという要望をいただいたわけだが、
今回はわざわざスティックを購入してまで
参加してくれる人もいて、有難いことだと思った。

練習メニューを組むにあたり、
システマ南埼玉の参加者はスティックワークに慣れていない人が多いから、
スティックを使って自宅でもできる様々なトレーニング法を紹介しようと考えた。

また、先日のブログ記事( 「スローワーク、フリーワーク」 )にも書いたことだが、
最近のシステマ南埼玉では、スパーリングの弊害が出てきているように感じている。

例えば、スパーリングの際、漫画のドラゴンボールの戦闘シーンのような、
ビシバシドカドカといった力のぶつかり合いになる場合が多い。

自分としては、リラックスした滑らかな動きで、
ダンスを踊っているような相手とコネクトした感覚で
スパーリングをしてほしいのだが・・・
まだ経験が浅いメンバーには、システマ感覚のスパーは難しいのかもしれない、
という気もしていた。

だから、今回のクラスのスティックワークを通じて、
「相手から動きをもらう」「相手の動きに乗る」「相手の動きを返す」
というシステマらしい攻防感覚を養ってもらおうと思った。

具体的な練習内容としては、
前回は4月のミカエル東京セミナーで教わった
モスクワ本部の最新の内容をシェアしたが、
今回は5~7年前にシステマジャパンやシステマ東東京で教わった
昔懐かしの内容を中心に練習することにした。

0514南埼玉①

スティック密集地帯の上でローリング。リラックスしていれば、スティックによるマッサージのように感じられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0514南埼玉②

スティックによるバランスのトレーニング

 

 

 

 

 

 

 

 

0514南埼玉③

スティックと一体化し、スティックに導かれて動く感覚のワーク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0514南埼玉⑤

スティックで突いたり払われたりしながら四大運動をやり続けるワーク

 

 

 

 

 

 

 

 

 


まずは、スティックによるセルフマッサージ、
スティックを持った状態でのローリング、スティックの上でのローリングなどから始めて、
スティックによるバランスのトレーニング、スティックと一体化するワーク、
スティックで妨害されながらの四大運動など、スティックを使った様々な準備運動を行った。

その中で、床に寝た状態から、スティックにつかまって体を起き上がらせるワークも
行ったのだが、昔の自分はこのワークをかなり苦手としていた。
以前はこれを筋トレ的にやっていたから非常にキツく感じたものだった。
だから、今回のクラスでうまく出来るかどうか、結構不安もあった。
 

しかし、自分の体の緊張を全身に均等に再分配して、
スティックと地面とコネクトするインターナルワークとして行ってみると、
拍子抜けするほどあっさりと楽にできることが分かった。
昔のトレーニングメニューをインターナルワークとして捉え直すと、
多くの発見があって面白いなと思った。

0514南埼玉④

エクスターナルなワークとしてやると辛い筋トレに感じられますが、インターナルワークとして捉えると、グッと楽になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他にも、自分がここ数年の間全くやっていなかったスティックワークを、
予習もなしに今回のクラスでぶっつけ本番で披露したことも多かったが、
一通りのワークを無事にこなすことができてホッとした。
システマの原理が身についてさえいれば、
長い間やっていないワークでも問題ないということが確認できたのは収穫だった。
原理を身に付ければ何でもできるというシステマの普遍性を感じた。

スティックを使った準備運動が終わった後は、
スティックによるスイングを体で安全に受けたり、
スティックによる突きやスイングをかわす練習を行った。

システマ初心者がパンチなどを捌く際、
ついつい横着して体が居着いて受けてしまったり、手で弾いたりしてしまうことが多い。
そして、力がぶつかり合うドラゴンボール的な攻防にもつながってしまう。
しかし、スティックなどの武器を使うと、
初心者でもキッチリと体から回避する感覚が身につくのが素晴らしいと思う。

0514南埼玉⑥

スティックによるスイングの受け方の練習

 

 

 

 

 

 

 

 

0514南埼玉⑦

スティックによる突きをかわす練習

 

 

 

 

 

 

 

 

0514南埼玉⑧

スティックによるスイングをかわす練習

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、スティックによるスイングの勢いを吸収して、相手に返すワークを行った。
これは個人的にお気に入りのワークの1つで、
相手の動きに乗る、相手から動きをもらって返す感覚を身に着けることができる。
このワークは、6年ほど前にシステマ東東京三本木インストラクターから教わって、
個人的にシステマに開眼したような感動があったから、この機会にぜひシェアしたいと思った。
 

0514南埼玉⑨

スティックによるスイングの勢いを吸収して、相手に返すワーク。うまくいくと面白いように相手が飛んでいきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は、スティックを媒介として
相手のプッシュやストライクの動きに乗り、その勢いを返すワークを行った。
さらに、スティックなしで、相手のプッシュやストライクやテイクダウンの勢いを
そのまま返すワークへと発展させた。

0514南埼玉⑩

引き続き、相手のプッシュやストライクの動きに乗って、その勢いを返すワーク。スティックという構造があるので、感覚がつかみやすいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0514南埼玉⑪

今度はスティックなしで、相手のプッシュやストライクやテイクダウンの動きに乗り、その勢いをそのまま返すワーク。スティックという構造がないので、自分の体をワンユニットにして動く感覚がより重要になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相手の動きに乗る」「相手に動きを返す」と一口にいっても、なかなか難しいとは思う。
これがうまく出来た時は、ほとんどこちらの力を使わず抵抗感もないのに、
相手が吹っ飛んでいくのだが。相手の動きにしっかりと乗る前に、
ついつい自分のエゴから勝手な動きが出てしまい、相手の動きとぶつかってしまうことが多い。
その辺りの微妙な感覚も、スティックを使って練習することで、明確に理解することができる。
 

「相手の動きに乗る」「相手に動きを返す」ための個人的なコツもご紹介したい。
昔のウイスキーの広告コピーに「何も足さない 何も引かない」という素敵なフレーズが
あったが、その感覚で、相手の動きに素直にそのまま乗って、そのまま返すことが大事だと思う。
自分のエゴが出ると、相手の力とぶつかって、動きの流れが濁る感覚がある。
自分の存在はあくまでも透明にしておけば、相手の動きにうまく乗り、
混じり気のない純粋な動きをそのまま返すことができる。
 

「相手の動きに乗る」「相手の動きを返す」感覚が身に着けば、
スパーリングをやっても力のぶつかり合いにならず、
システマらしい美しい動きになるだろう。今回のクラスをきっかけに、
システマ南埼玉の参加者の共通の感覚として定着してほしいと思った。

0514南埼玉⑫

最後に、スティックを使って良いストライクの感覚を養うワーク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は、スティックを使って良いストライクの感覚を
養うワークも行い、今回のクラスを締めた。

3000円~4000円の値段で、フィジカルトレから武術トレまで非常に幅広く活用できるから、
スティックを購入するのは非常にコストパフォーマンスの高い投資ではないかと思う。
一家に一本あれば、防犯にも役立つ。
スティックを持っていない方はぜひ購入されることをお勧めしたい。