少し前の話になるが、7月18日(月)の海の日に、
「掛け試し稽古会」に参加してきたから、その時の感想を書いておきたい。
自分がこの稽古会に参加するのは、去年の9月、12月に続いて、今回が3回目になる。

※ → 参加1回目の時の感想はこちら

※ → 参加2回目の時の感想はこちら

掛け試し稽古会とは、練空武館の高久 昌義 館長が 主催している武術の交流会のこと。
寸止め、または、ごくライトコンタクトのスパーリングを
なるべく多くの人達、様々な流派の方達と行うことで、
普段練習している技を自由攻防の中でいかに出せるか・・・を 学ぶことを趣旨としている。
 

今回の掛け試し稽古会には、システマ南埼玉からは自分だけでなく、
システマ東埼玉を主宰するT中さん南埼玉の常連メンバーのⅠ野さんを合わせて3名が参加した。

システマ南埼玉からは自分を含め、3名が参戦しました。

システマ南埼玉からは自分を含め、3名が参戦しました。

 

 

 

 

 

 

稽古会全体では、ざっと数えて50名くらいが参加していた様子。
毎回思うが、これだけの武術・格闘技修行者が一斉に集まると、なかなか壮観だった。
しかも、その大半が指導者や選手クラスの手練れぞろい。
体育館の中は強い人たちが発する熱気でムンムンしていた。

稽古会が始まると、7月中旬の暑い中で、合計70ラウンドのスパーを消化した。
今回も上手い人、強い人が多くて、参加者のレベルは全体的に高く、非常に面白かった。
 

システマ東埼玉のT中さんは、掛け試し稽古会に参加するのが
去年の9月に続いて今回が2回目になるから、
前回より大分勝手が分かって、
稽古会のスタイルになじんでいた様子だった。 

システマ南埼玉の常連メンバーのⅠ野さんは今回が掛け試し初参加だったが、
システマ以外にも様々な格闘技の経験が豊富で、試合にも出たことがあるということで、
すぐに稽古会に適応して生き生きと戦っていた。

T中さん、I野さんの2人とも、今回の掛け試しを非常に楽しんでいたようで、
紹介した自分としても嬉しく思った。
他流派の手練れ達と緊張感あるスパーを楽しめる場は
そうそうないから、この稽古会の有難味を2人とも感じていたようだった。 

他の武術・格闘技の修行者を相手に、これだけレベルの高い自由攻防を、
殺伐とした雰囲気にならず、和やかに、かつ、真剣な雰囲気でやれる場は、
他にはあまりないだろうと自分も思う。 

掛け試し稽古会を主催する高久館長が言うには、
この稽古会は、真剣に、かつ、怪我をする危険なしに、
多数の自由攻防を重ねられることが重要、とのこと。

ガチンコのスパーをやると度胸や胆力がつき、実戦慣れするかもしれないが、
体にダメージがたまるからスパーの数をこなせないし、
怪我でもしてしまえば、しばらくの間は練習ができなくなる。

だから、相手の手足が刃物のようなイメージで、
神経を張り詰めて、真剣に間合いを保って戦うが、
相手に強い打撃は入れない・・・という掛け試し稽古会のスタイルは、
非常に理にかなっていると自分も思った。 

ガチな打撃を入れていたら、せいぜい数ラウンドでダウンしてしまいそうだが、
このスタイルでスパーをやれば、真剣勝負で70ラウンドもこなせてしまう。
自由攻防の質も量も確保できる素晴らしいスタイルだと思う。

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さて、今回の掛け試しに参加した自分の感想としては、
過去に2回参加した経験から多少の対策を練って臨んだが、
それがかえって考えすぎにつながり、動きがぎこちなくなった面もあったかもしれない。 

というのも、システマと他の武術・格闘技では、戦い方も、間合い感覚も、大きく異なるんだなと、
掛け試しに参加する度につくづく実感させられる。
(この辺りは、システマ修行者で掛け試し稽古会に参加した人には理解していただけると思う。)

だから、他の武術・格闘技の修行者と対戦した時に、システマのスタイルを押し通すと、
異種格闘技戦にありがちな、いかにも「噛み合わない」雰囲気になってしまう。

もちろん、空手 vs 中国拳法、キックボクシング vs ボクシング・・などの
組み合わせでも「噛み合わない」感はあるだろうが、
打撃系格闘技同士だと、戦っている内に次第に少しずつ噛み合ってくる面はある気がする。 

しかし、システマは打撃だけでなく、テイクダウンや関節技なども含んだ総合武術で、
一般的な打撃格闘技よりもかなり近い間合いを得意とするだけに、
遠間からの打撃の差し合いを中心に挑んでくるような相手だと、
どう付き合ったものか・・と悩んでしまう面はある。 

そのような戦いのスタイルに全く付き合わないと、
本当に「噛み合わない」感が出てしまうし、
かといって、相手の土俵に乗って、相手の間合いやリズムに合わせすぎると、
システマの良さが大幅に消えてしまう。

そのような事実があるから、今回の掛け試し稽古会に参加するにあたり、
システマ修行者としてどのように戦おうか・・と多少の対策を練ったわけだが、
あまり考えすぎると動きも固くなることだし、
もう少し、感じるまま、体が反応するままに戦えばよかったなという気がする。 

事前にいろいろと掛け試し対策を考えて、
一発も打撃を食らわないような意識で取り組もうという気でいたが、
掛け試しの冒頭から顔面に良い打撃を食らってしまい、
寸止めとはいえ、「やられた感」が確実にあった。
強い人を相手にすると、現実はそう甘くはないなと感じた。 

その後は、あまり考えすぎずに
リラックスして取り組もうと意識を変えたから、
それなりに伸び伸びと戦えたが、
最初からシステマらしい自然体で臨めばよかったと思う。

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今まで掛け試し稽古会に参加する度に、
心地よい緊張感や、強い相手と手合わせできる喜びを感じてきたが、
同時に、他の武術との間合い感の違いなど、
システマの特殊性を実感することも多かった。
正直言って、やりづらいと思うこともあった。 

そのような背景から、何とか本来のシステマの攻防感覚を
十分に発揮したスパーができないか・・と考えて、
昨年から 「システマ風掛け試し」 を始めた。
お蔭様で、システマ南埼玉の参加者からは好評をいただいている。

6.25 掛け試し5

「システマ風掛け試し」は、錬空武館の掛け試し稽古会のスタイルをシステマ風にアレンジする形で開始しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ 「システマ風掛け試し」 の詳細を知りたい方は、→ こちら をご覧下さい。

 

今年に入って、「システマ風掛け試し」をほぼ毎月実施しているから、
自由攻防の欲求はそれなりに充足しているが、
本家本元の掛け試し稽古会にも引き続き、参戦していこうと思う。 

ここ7年ほど、システマって素晴らしい!という思いから熱心に修行してきたが、
掛け試し稽古会で様々な経歴の方と対戦することで、他の武術・格闘技の良さも分かったし、
システマの特徴を相対化して理解することができた。 

それ以来、他の武術にはないシステマの良さをもっと追求しようと、
修行にもっと熱が入るようになった。
システマを長年修行していると、練習内容がマンネリになることもよくあるが、
掛け試し稽古会から刺激を受けて、新たな動きを開発したりもしている。

また、掛け試し稽古会のスパーでは、
ついつい空手やキック的な攻防になりがちな中で、
何とかシステマの原理を生かして動けないかと、いろいろと工夫するようになった。

といっても、前にも書いたように、今回の掛け試し稽古会では、
他の武術の強い人を想定して練っていた対策が、思うように通じなかった面がある。

それはなぜかと考えてみると、掛け試し稽古会には
システマ修行者が何度も参加してきたから、
システマの特殊な動きに対戦相手が慣れてきたというのもあるだろう。 

また、掛け試し稽古会に毎回参加している常連メンバーは、
以前よりさらに手強くなっている印象があった。
こちらがレベルアップしたつもりでも、相手の実力の伸びがさらに大きいように思った。

掛け試し稽古会では、様々な武術・格闘技の手練れ達と、
数多くの真剣なスパーリングを重ねるわけだから、
一度参加するだけでも、得られるものは非常に大きい。
ドラクエに例えると、はぐれメタルを何匹も倒したような経験値が得られるだろう。
特に打撃系格闘技をやっている人にとっては、非常に良い修行の場になると思う。

はぐれメタル

「掛け試し稽古会」は、ドラクエに例えれば、はぐれメタル頻出スポットといえるんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分は掛け試し稽古会に毎回参加するのは厳しそうだが、
何とか家庭内予選を勝ち抜いて、年に数回くらいは引き続き参戦していこうと考えている。